牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

 「一言芳恩」に励まされて・・・


梅雨入りを控え、不安定な空模様の続きますが、紫陽花が色鮮やかに咲き競い出しました。ワクチンの接種が始まったとはいえ、新型コロナウイルスの話題で鬱々と心も晴れぬ日々かと存じますが、どうか、梅雨晴れの青空を期待され、日々の生活におつとめくださいますようお願いいたします。


 人生には「順風」の時もあれば、「逆風」が吹くこともあります。どちらかだけが、延々続くことはなく、風は絶妙なタイミングで吹き分けます。順風なら追い風として進むことができるでしょうが、逆風なら知恵を絞り工夫しなければなかなか前には進みません。でも、人生、追い込まれた時だからこそ瞬発力が生まれることもあります。ならば、「逆風もまた良し」と前向きに頑張っていただきたいのです。


 「一言芳恩」という言葉があります。ひと声かけてもらったことを忘れずに感謝することです。時には、あの日あの時、あのひと言、あの思いが人生を変えることもあります。傷ついた時、生きているのが嫌になった時、「大丈夫」という言葉に助けられた方々も少なくないでしょう。まさに言霊の威力です。


 コロナ禍で生活に苦慮する方々は、猛烈な逆風の中、出口の見えぬトンネルを、たった一人で歩んでおられるかのごとく暗澹たる毎日でありましょう。そんな時、「もう少しのご辛抱ですよ」という温かい励ましの言葉は、何にも勝る、闇夜の光明になるに違いありません。


言葉は刃物―――。時として人を切り、血を流すときもありますが、言葉にまた励まされ、生かされることも事実です。多くの人との巡り合いのなかで、「ご恩返しに、今度はお励ましする側に回ろう」と私は決めました。
激励の言葉を紡ぐ。これこそが一言芳恩、連綿と続くかけがえのない善根の積み重ねになるのではないでしょうか。


 コロナと闘うすべての人へ。お励まししようとする気持ちが、そして言葉が、真心は、未来永劫受け継がれて参るのです