牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

心が疲弊したあなたに、レモンバームが効きます。

メディカルハーブ レモンバーム




抗うつ効果があるとして知られるのがレモンバームです。
レモンバームの精油は、抑うつ状態を改善し、イライラや興奮を落ち着かせて、気分を鎮静させます。

こうした薬用効果の髙い植物は「メディカルハーブ」と呼ばれます。

概要

レモンバーム(英語:Lemon balm、メリッサ、学名:Melissa officinalis L)は、シソ科コウスイハッカ属の多年生のハーブ。地中海沿岸の東部から西アジアが原産地。耐寒性が強く、日陰で栽培できて繁殖力も旺盛で、こぼれた種子で適地に生育が広がりました。
学名のMelissa officinalis Lは、Melissaのmeilliが蜂蜜の意味で、meilliferaはミツバチです。元々、レモンバームは蜂蜜を得るために2000年以上地中海沿岸で栽培されてきた蜜源植物です。


ギリシャ神話では、半神半人の妖精のメリッサとアマルティアの姉妹が全知全能の神ゼウスを育てる時に、メリッサは蜂蜜を、アマルティアは山羊の乳を与えた伝説があります。
学名のofficinalisは薬用の意味を持ち、古くから薬草として使われたことがわかります。ちなみに最後のLはスウェーデンの博物学者で「分類学の父」と称されるリンネを指します。和名はコウスイハッカ(香水薄荷)、セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)ですが、使われていません。一般的にはレモンバームが有名です。


日本では4月から10月までの成長が盛んで、摘み取った明るい黄緑色のハート型の葉を乾燥してハーブティやポプリ(室内香)などに用います。新葉はレモンの香りが楽しめ、サラダ、リキュール、魚料理など多彩な料理に用いられます。


レモンバームの歴史

古代ギリシャ、ローマ時代から南ヨーロッパで栽培されてきた重要なメディカルハーブで、薬学の父と言われるギリシャ人薬物学者のディオスコリデスが著した「マテリア・メディカ(薬物誌)」や、古代ローマの博物学者で軍人政治家の大プリニウスの著作「博物誌」にはレモンバームを浸したワインで外傷治療したり、毒蜘蛛やサソリの噛み傷、刺し傷に内服、外用したと記載されています。アラビア医学の学者イブン・スィーナーは、レモンバームが気分を高揚させるとして推奨し、16世紀のスイス人医師で医科学の祖と称されたパラケルススは、若返りのハーブとして「生命のエリキシル、不老不死の万能薬」と呼んでいたそうです。


インドのアールユベータ医学では、
乾燥粉末やアルコール抽出物を精神安定剤、抑うつ薬の治療に使っています。


このほか、ハーブティとして飲用することで、特に記憶力を改善する効果が伝えられています。
最近では、ラットを使った動物実験(スコポラミン誘発性学習障害ラットやナイーブラットによる水迷路試験)や臨床試験でも記憶力や学習能力の低下を改善することが確認されています。このことからアルツハイマー病患者の記憶障害への有用性が示唆されています。
睡眠障害の改善にも効果があり、メリッサの経口摂取が推奨されています。
このほか、レモンバーム抽出物1%入リップクリームを口唇ヘルペス患者に塗布したところ、感染拡大を防ぎ、短期回復した報告があります。月経前症候群(PMS)の女子高校生にメリッサ抽出物を摂取させた結果、身体性および精神性PMS症状を軽減させています。


世界各国の扱いは

欧米では薬局でメディカルハーブとして販売。ドイツでは不眠改善として認知され、睡眠処方薬に配合されてもいます。
コミッションE(ドイツ保険省の薬用植物評価委員会)では神経性不眠への効果が承認。イギリスでは抗ウイルス作用がると薬に記載されています。ESCOP(ヨーロッパ植物療法科学協力機構)では緊張、多動性、花瓶治療薬が承認。米国でも睡眠補助剤として認定され、AHPA(米国ハーブ製品協会)でもクラス1(安全摂取が認められたハーブ)に認定。安全性は十分担保されています。