牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

コロナ時代を生きる。「和顔愛語」で生きる。



仏教に「和顔(わげん)愛語(あいご)」という教えが
あります。穏やかな笑顔と、慈悲の
心から生まれた思いやりの深い一言
が、人を幸せにすることが出来ると
いうことです。


 曹洞宗の開祖、道元禅師は「面(むか)い
て愛語を聞くは面(おもて)を喜ばしめ、心を
楽しくす。面(むか)わずして愛語を聞くは、
肝に銘じ、魂に銘ず。愛語よく廻天
の力あることを学すべきなり」と、
説いています。


勇気を与える言葉は直接伝え、褒め
言葉は第三者を通じ伝えた方が心に
響きます。また、戒めの言葉は誰も
いない所で諭すべきでしょう。
本当の慈愛に満ちた愛語は、人生、
そして世界さえ変える力があるのです。
 
こんな逸話がございます。ある僧
侶がまだ小僧さんの頃、和尚さんの
留守中に掃除に疲れ、縁側で寝込ん
だのです。暫くして和尚さんが戻ら
れました。「しまった」と思ったが
手遅れ。小僧さんは観念して狸寝入
りしました。和尚さんは枕元でそっ
と片手で合掌、「ごめんなされや」
と、音もたてず去られました。熟睡
する小僧さんの人格を尊重したとい
うことでしょう。感じ入った小僧さ
んは発奮して修行を積み、のちに名
僧になりました。


愛語は言葉ならざる言葉の形を取ることもあるのです。


新型コロナ感染が拡大するなかで、お苦しみの最中(さなか)の貴方様には、笑
顔を浮かべることさえお辛いでしょうが、口角(こうかく)を上げ、優しい笑顔にな
ることで、病を癒す免疫力は向上するといわれています。


心身(しんしん)一如(いちにょ)、心
と身体は繋(つな)がっています。どうか慈
悲の心を忘れず、日々お励み下さい。


一日も早い平癒を祈念いたしております。