牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

8月6日 今日の禅語は「全機現」です。

人はあらゆるものとの出会いを通して、豊かに、幸せになる生き物です。
出会いとは、美しい景色であったり、感動するスポーツのシーンであったり、時には美味しいものをいただいた時。さらには、本を通して新しい知識に出会った時も幸せになります。古来、日本人はそんな出会を「縁」と表現して来ました。縁に出会うことを「結ぶ」と表現します。縁を結ぶ、なんて素敵な言葉なのでしょう。言葉を通して素敵な出会いを結べたら幸せです。



8月6日 今日の禅語は「全機現」です。


意味は「生きている今この瞬間を全力に生きること」


曹洞宗の道元禅師が残した言葉で、生と死について説いた言葉です


全機現の全は全宇宙のことを指し、機とは絶大なる力ということを指し、


つまり、「生も死も、全宇宙の絶大なる働きによるもの」
難しい言葉ですが、道元禅師は、「生は生、死は死でありそれらは全く別のものであり、それに一切の繋がりはない」と解説しています。


つまり、生と死は全宇宙のあるがままの働きによるもので、自分たちの力でどうこうできるものではないのです。


人は生きると死ぬということを繋がって考えてしまうから、生に執着し、死ぬことを恐れます。死にたくないという執着は、逆に生きることに苦を感じ、自分を追い込んでしまうため、一度きりの人生を台無しにしてしまいます。


生と死という概念にとらわれることなく、生は生として、生きている今この瞬間を全力に生きることが大切、それが「全機現」です。


私たちは、いつ来るかわからない死に怯えて生きています。


例えば、老後に備えて準備することは大切かもしれません。


しかし、老後に「怯えて」行動してはいけない。
あくまでも今やるべきこととして、今何が必要かを考え、今この瞬間を全力で生きようとして起こる行動でなければならないのです。


不安であれば、考えるばかりで行動ができず、時間だけが過ぎていく。


不安も執着も捨て去った人は、人生に迷いがない。今やるべきことが明確であるため、立ち止まることなく、自分自身が信じる道をしっかりと進むことができるのです。


あれこれ考えることなく行動していきたいものですが、なかなか難しいですね。


そうすれば、今よりももっと毎日を充実させて人生を過ごせるのはわかっていますけど。