牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

2020年11月のブログ記事

  • 岩に立つ矢。一心一事の話

    中国の漢の時代。弓の名人と謳われた天下無敵の将軍がおりました。 ある日、山奥に狩りに出掛けたときのこと。かなたの岩山に虎がうずくまっているのが見えました。気づかれぬうちに、急いで弓に矢をつがえ、満月のごとく引き絞って矢を放つと、見事に虎に突き刺さりました。 しかし、虎は身動き一つ、微動だにしません... 続きをみる

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  • 日々是好日(ひびこれこうじつ)その2

    大阪、船場は徳川時代の三百年間、天下の台所と言われただけに独特の文化を持っています。 代表例が船場の日常挨拶、「お変わりございませんか」。 元気で働くことが日常の基盤という考えで、まず病でないかを尋ねて、相手の身を案じます。 この挨拶に対する答礼が、 「お陰様で」 わずか一言づつの問答ですが、そこ... 続きをみる

  • 梅に教わること

    梅は日本に自生していたという説と中国から伝来したという2つの説があります。現在は、中国伝来が有力視されていますが、梅はシベリア地方で産まれ、蒙古を通じて中国に渡り、それが日本に持ち込まれたという話も出てまいりました。 渡来の歴史は古く、万葉集に梅を詠んだ歌は100首を超えています。 春の野に 鳴く... 続きをみる

  • 湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入ってい

    フランスの大詩人、ポール・ヴァレリーの言葉です。 ボートを漕ぐ姿を想像してみてください。 湖に浮かぶボートって、オールを持つ漕ぐ人の、後ろ向きに進んでいきます。 ほら、千鳥ヶ淵の手漕ぎボートとか、不忍池とか・・・ ポール・ヴァレリーは、その姿を、時という湖に浮かぶボートとして 表現したのです。 人... 続きをみる

  • 日々是好日(ひびこれこうじつ)

    日々是好日 「毎日がいいことばかりだと、楽しいだろうな」。 苦労やストレスの多い毎日を過ごしていると誰しもがそう考えるでしょう。 しかし、それが妄想だと指摘できるのは、毎日は決してうまくいかない事の連続だから。 人は、毎日が決していいことばかりではないと悟っているのです。 しかし、いいことって何で... 続きをみる

  • 呪いのクロユリ伝説

     ユリ(百合)  呪いをかける花~戦国時代のクロユリ伝説 ユリは夏の花と呼ばれますが、種類が多く、開花時季は5月から9月までと幅が あります。花暦では7月はユリとクチナシですが、このユリは7月に花が咲く ヤマユリを想定してのこと。万葉集にユリとあるのもヤマユリを指していま す。日本特産のヤマユリは... 続きをみる

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  • 秋の花  クズ

     クズ(彼岸花)  不死鳥に似た生命力。強く生きよと呼びかけてきます クズの花を紹介します。 秋の七草のひとつ、フジやハギと同じマメ科の植物です。 茎は6メートルを超える長き蔓にり、一つの柄に3枚の大 きな葉が付きます。花はフジに似た紫色で、甘い香りを漂 わせる可憐な蝶型に開きます。ただ、鉄道線路... 続きをみる

  • 秋の花 リンドウ

    (10月の花より) リンドウ(竜胆)  秋の最後を飾る、内に秘めたる生命力を見よ 秋の山や丘陵地で美しい青紫色の花がひときわ目を引きます。リンドウは 秋の七草に入っていないものの秋の野草の中で最も色も形も趣に富んだ花で す。青紫色のほかにも桃や白色もあり、筒状をした鐘形の花が特徴です。先 端が五裂... 続きをみる

  • 11月の花の紹介  ノギク

    (10月の花より)  ノギク(菊)  苦労の影を見せない苦労人。太陽の申し子とも。 万葉集には160種類の植物名が登場しますが、キクを詠んだ句は一首も ありません。 奈良時代の末頃に中国から伝来したといわれるキクですが、野や山で可憐に 咲く野菊は大昔から自生していました。九州の薩摩菊、四国の 塩菊... 続きをみる

  • 11月の花の紹介  サザンカ

    サザンカ  「困難に打ち克つ」。見た目そっくりなツバキとは表と裏の関係 日本特産の常緑樹で本州西端、九州、四国に自生します。 椿に似ていますが椿はにぎやかな春の花であるのに対してサザンカは晩秋の花です。同じツバキ科でありながら表と裏のような関係です。 サザンカは一つづつ枝の先に花が咲き、紅を帯びた... 続きをみる