牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

日々是好日


人類の進化の軌跡は天変地異からの生き残りであり、人類は知能を働かせて今日に至るまで繁栄をしてきました。ところが人類は気象災害や地震などの天変地異の恐怖とともに、人間がつくりだした地球環境の悪化から生じる新たな気象異変にも不安を抱かねばならなくなったのです。
 

 月落ち天を離れず、月も地球も宇宙にあり、宇宙を離れることはない。月は西に沈んで見えなくなるが明日また東の空にのぼる、今、人類はその月から地球がのぼるのを見ることになった、漆黒の月の天空のはるか彼方に美しい地球の姿を見ることができる。
 美しい地球は静寂の星ではない。高熱のかたまりが地下深くにあり、火山は噴火し地殻は絶えず変動し地震がおこります。そして地表では気候変動があり、刻一刻と気象が変化します。時に大気は渦となって地上のものを吹き飛ばし、大量の雨が地上に降り注ぎます。美しい地球はそれ自身が生きているのです。この地球に生息するかぎり、人類もいかなる生命も地球の動きすなわち地殻変動と気象変化を無条件で受け入れざるをえません。



今、日本では生きる意味を見失った人々が多いのでしょうか、毎年3万人を超える自殺者があり、交通事故死の三倍に上るそうです、不況とリストラで生きがいをなくしてしまうほど 精神的に弱い人々ばかりになってしまったのでしょうか。


 低成長・マイナス成長の時代になってもなを、 右肩上がりの成長路線にしか価値を求めず、 生き方の転換に意義を見いだすことができない人々ばかりなのでしょうか。


 進学路のランク付けにより学校教育がおこなはれ、ついていけない子には落後者のレッテルをはり、 子供が生きがいを自分で見つける余裕すら与えない、そんな子育てばかりしているのでしょうか。


 金銭が人間関係の基本であり、家族や愛情よりも信頼できる、世の中はすべて経済的合理性に基づくのだ、という解釈しかしない人々ばかりになってしまったのでしょうか。


 21世紀のスタートはけっして人類の輝かしい新世紀の始まりとはいえない状況であります。富める超大国に人や金が集中する一方、 途上国の貧困層はますます貧しくなる・・・・・国家間、個人間の所得格差の拡大、 民族の伝統や共同体などの固有性を失わせて、世界を均質化してしまうような潮流に対して、新型コロナウイルスは、地球規模の急速な市場経済化 (グローバル化) さえも止めてしまったのです。


 21世紀は心の時代だと言われます、アメリカでは同時テロの影響からか教会に足を踏み入れることのなかった若い人々が、熱心に通い始めたそうです。


 春になると花が咲く、これは大自然の真理であり、生命の輝きです、人間のはからいを超えた自然の躍動、そのものの現れです風が吹き、雨が降る、晴れたり曇ったり、日々新たなり、これが大自然の風光です。



 春を迎えて、森羅万象ことごとく新たなり、 すべての面目が一新しました。 目の前のさまざまなものごとにとらわれないで眼前の風光のことごとくを、あるがままに見、あるがままに受けとめてものごとの本質である春を見いだしてこそ、春の到来を心から喜ぶことができる、日々是好日、365日を生き生きとありたいものです。