牧之瀬雅明・禅語と季節のブログ

季節の花々と人生を重ねて

湖に浮かべたボートを漕ぐように、人は後ろ向きに未来へ入ってい

フランスの大詩人、ポール・ヴァレリーの言葉です。


ボートを漕ぐ姿を想像してみてください。


湖に浮かぶボートって、オールを持つ漕ぐ人の、後ろ向きに進んでいきます。


ほら、千鳥ヶ淵の手漕ぎボートとか、不忍池とか・・・


ポール・ヴァレリーは、その姿を、時という湖に浮かぶボートとして


表現したのです。


人生は時の湖を漕ぐボートのようだ。進むべき方向、つまり未来には背を向けている、と。


だから、誰もが未来を、自分が進む方向を見ることが出来ないのです。


自分の目に映るのは、過ぎ去っていく風景ばかり。つかり、過去しか目に入らない。


誰もが、過去に縛られ、過去に囚われ、逃れる術を知りません。


でも、その過去も、ボートが進めば、どんどん遠くへ遠くへ追いやられていくのです。


風景が遠近法で小さく、小さく、見えなくなっていく。


過去とはそういうものでしょう。


時の湖、時の川、いずれであっても、ボートのオールを担ぐのは私です。


例え、後ろ向きであっても、未来を、進む方向を決めるのは私なのです。